【検証】NVMe RAID0は“CPU直結”と“チップセット経由”でどれくらい差が出る?(990 PRO vs Crucial CT2000)
NVMe SSDを2枚使ってRAID0を組むと、シーケンシャル(連続読み書き)が伸びて気持ちいいです。 ただ、最近のマザーボードではM.2スロットが「CPU直結レーン」と「チップセット経由」に分かれていることがあり、 同じPCIe Gen4 SSDでも体感やベンチ結果が変わる場合があります。
今回は、手元で組んだ2種類のNVMe RAID0をCrystalDiskMarkで比較しました。
検証環境
- CPU:Ryzen 7 9800X3D
- M/B:X870E チップセット搭載マザーボード
- RAID:AMD RAID Driver による RAID0 ストライプ64KB
- ベンチ:CrystalDiskMark 9.0.1 x64
- 回数:3 / サイズ:1GiB / 単位:MB/s
- 構成A(CPU直結):Samsung 990 PRO 2TB ×2(RAID0)
- 構成B(チップセット経由):Crucial CT2000 2TB ×2(RAID0)
※M.2スロットの配線(CPU直結/チップセット経由)はマザーボード設計に依存します。 本記事では「CPU直結」「チップセット経由」は、実際の配線に基づく区分として扱います。
なぜ差が出る?(AMD RAID Driver 前提)
AMD RAID Driver を使ったRAID0でも、体感寄りの指標(特に SEQ Q1T1 / RND4K Q1T1)では、 CPU直結レーンのほうが有利に出やすい傾向があります。
主に、次の2点が絡みやすいと考えています。
1) チップセット経由は「CPUに戻る経路」を通る
高キュー(Q8)では並列で押し切れる一方、低キュー(Q1)では待ち時間が効きやすく、結果に差が出やすくなります。
2) RAIDドライバの処理+SSD特性がQ1領域に出る
RAID0は帯域が伸びる一方で、低キュー領域ではSSDの得意不得意や、ドライバ処理のオーバーヘッドが見えやすくなります。
※本記事は「同一環境で、配線(CPU直結/チップセット経由)とSSD構成の違いがベンチ結果にどう出るか」を見る目的であり、 すべての環境で同じ傾向を保証するものではありません。
結果(CrystalDiskMark)
990 PRO 2TB ×2 RAID0(CPU直結 / C:)
| 項目 | Read (MB/s) | Write (MB/s) |
|---|---|---|
| SEQ1M Q8T1 | 7359.86 | 6170.61 |
| SEQ1M Q1T1 | 6662.00 | 4726.62 |
| RND4K Q32T1 | 837.86 | 696.78 |
| RND4K Q1T1 | 68.61 | 521.73 |
CT2000 2TB ×2 RAID0(チップセット経由 / D:)
| 項目 | Read (MB/s) | Write (MB/s) |
|---|---|---|
| SEQ1M Q8T1 | 6846.10 | 6341.10 |
| SEQ1M Q1T1 | 4704.42 | 4615.36 |
| RND4K Q32T1 | 790.86 | 654.73 |
| RND4K Q1T1 | 53.64 | 539.36 |
見どころ
見どころ1:シーケンシャル(Q8T1)はどっちも強い。ただし「伸び方」が違う
まず SEQ1M Q8T1(キュー深め)を見ると、両方とも 6.8〜7.3GB/s 出ています。 ここは「RAID0らしい爽快感」がしっかり出る範囲です。
- Readは 990 PRO(CPU直結)が上
- Writeは CT2000(チップセット経由)がわずかに上
ただし、注目したいのは次の SEQ1M Q1T1 です。
見どころ2:Q1(低キュー)で差が開く=体感差になりやすい
SEQ1M Q1T1 は、実利用(アプリ起動・ゲーム読み込み・普段の操作)に寄る指標です。
- 990 PRO(CPU直結):6662 MB/s
- CT2000(チップセット経由):4704 MB/s
ここは数字がきれいに開きました。「チップセット経由は遅い」というより、 低キューの読み込みではレイテンシ影響が乗りやすい、という見え方が近いです。
チップセット側は内部的に「CPUへ戻る通り道」を通るため、構成によってはその分の待ちが増えます。 高キューでは並列で押し切れても、低キューでは待ちが効いてくる……という雰囲気です。
見どころ3:ランダム4Kは“読み”で990 PROが優勢
次に RND4K(小さいデータをバラバラに読む/書く)です。 OSの反応、アプリの小物読み込み、ゲームの細かいアセット読み込みに影響しやすい領域です。
RND4K Q32T1(並列寄り)
- Read:990 PRO 837.86 > CT2000 790.86
- Write:990 PRO 696.78 > CT2000 654.73
RND4K Q1T1(体感寄り)
- Read:990 PRO 68.61 > CT2000 53.64(差がわかりやすい)
- Write:CT2000 539.36 > 990 PRO 521.73(ここはCT2000が少し上)
まとめると、読み系は 990 PRO(CPU直結)が強く出やすいです。 逆に書きは、条件やキャッシュ挙動によってCT2000側が良く見えることもあります(今回がそれ)。
なぜこうなる?(推測)
断定はしませんが、今回の傾向は次の2つが効いていそうです。
CPU直結 vs チップセット経由のレイテンシ差
低キュー(Q1)ほど「待ち時間」が効くため、CPU直結の良さが出やすくなります。
SSD自体の特性 + RAIDドライバ/実装差
同じ「2枚RAID0」でも、コントローラのクセやSLCキャッシュ、ドライバの処理で結果は変わります。 特にRND4KやQ1領域は、SSDの素の得意不得意が見えやすいです。
実用面の結論:おすすめの役割分担
今回の結果だけで言うなら、役割は次のように置くのが気持ちいいです。
OS/ゲーム/作業アプリ置き場(体感重視)
→ 990 PRO RAID0(CPU直結)
Q1の読みが強いのが効きます。操作感の「引っかかり」が減りやすいです。
データ倉庫/動画素材/大きいファイルの読み書き(帯域重視)
→ CT2000 RAID0(チップセット経由)
Q8T1の帯域はかなり出ているため、大容量ファイルの移動や素材管理なら十分戦えます。
RAID0の注意点(大事)
RAID0は速い反面、冗長性はゼロです。2枚のうちどちらか1枚でも故障すると、基本的に全データが失われます。
- RAID0は「消えて困るものを置かない」
- 置くなら別媒体にバックアップ(定期・自動が理想)
- SMART/温度監視は実施(NVMeは熱でも挙動が変わります)
まとめ
- 高キューのシーケンシャル:両方かなり強い(RAID0の旨味)
- 低キューの読み(Q1):990 PRO(CPU直結)が明確に優勢 → 体感に寄りやすい
- チップセット経由でも:大容量用途なら十分速い。使い分けが正解
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